ウサギとヒナ 第七話 アプローチ

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「まずはグリップから。オーバーラッピングが主流だけど、他にもベースボールやインターロッキングとか、とりあえず試してみて、一番しっくりするやり方でいこう」

 グリップ、構え方、スイングを教わり、何度も素振り。
 ひえーっ、クラブって結構重いんだ。

「指を重ねる握り方は、なんだか変な感じがします」
「じゃあベースボールでいこうか」

 実際にボールを置いて、スイング。はい、見事な空振り三振。バッターアウト、審判の声が聞こえそうだ。

「止まっているボールを当てることが、こんなに難しいなんて」
「大丈夫、大丈夫。何度かやっているうちに当たるから」

 本当に当たるのか。えーと、頭を動かさない、それからクラブと一緒に上半身の向きも右へ向ける。あと、何を言われたっけ。

「えいっ」

 ネットへ向かって飛んでいった。のは、後ろにいる正人さんボールだった。私のボールは鎮座。

「また空振り。ううっ」

 コンペに参加するなんて言ったけど、無理じゃない? 

「うにゃー。挫折しそう」
「もう? それは困るよ、ヒナちゃん」
「最初から上手く打てたら、天才だろ」

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