「まずはグリップから。オーバーラッピングが主流だけど、他にもベースボールやインターロッキングとか、とりあえず試してみて、一番しっくりするやり方でいこう」
グリップ、構え方、スイングを教わり、何度も素振り。
ひえーっ、クラブって結構重いんだ。
「指を重ねる握り方は、なんだか変な感じがします」
「じゃあベースボールでいこうか」
実際にボールを置いて、スイング。はい、見事な空振り三振。バッターアウト、審判の声が聞こえそうだ。
「止まっているボールを当てることが、こんなに難しいなんて」
「大丈夫、大丈夫。何度かやっているうちに当たるから」
本当に当たるのか。えーと、頭を動かさない、それからクラブと一緒に上半身の向きも右へ向ける。あと、何を言われたっけ。
「えいっ」
ネットへ向かって飛んでいった。のは、後ろにいる正人さんボールだった。私のボールは鎮座。
「また空振り。ううっ」
コンペに参加するなんて言ったけど、無理じゃない?
「うにゃー。挫折しそう」
「もう? それは困るよ、ヒナちゃん」
「最初から上手く打てたら、天才だろ」