ウサギとヒナ 第七話 アプローチ

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 ウサギさんと正人さんに連れられて、初めてゴルフショップに足を踏み入れた。
 ステンレス製の棒で小さなボールを飛ばす競技だってことくらいの知識はあるけど、生涯無関係だと思っていたカテゴリーなんだよね。
 並ぶクラブを見ても、全部同じに見える。でも、値段が違うってことは、何かが違うんだろうな。

 ウエアにバッグ、グローブ、シューズ、クラブセット、一通り揃えると結構高いな。ウエアはユニシロで探そうかな。
 ふと、クラブセットの端に目がとまった。
 中古品レディースハーフセット税込み一万九千八百円。これなら私でも手が出せる。

「これにします」
「えっ、これ? 中古だよ」

 二人が同時に驚いた。正人さんからはあり得ないとまで言われた。

「だって続けるかどうかも分からないのに、新品なんてもったいないです。とりあえずクラブとグローブだけあれば練習出来るんですよね。じゃあ、今日はこれだけ買います」

 スタッフに声を掛け、クラブセットをレジへ運んでもらった。

「すぐ使えるように値札取って頂けますか」
「はい、かしこまりました。お会計二万千六百円になります」

 デビットカード作っておいて良かった。
 財布を取り出している間に、横からウサギさんが自分のカードをスタッフに差し出した。

「ダメです。あのこっちのカードで」
「大きな声を出すと、他のお客さんに迷惑だよ。そのカードで精算してください」

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