恋の時間ですよ 第9章 君の体にメロメロ

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ユキ君と嬉恥ずかし、お泊りデート。水族館でたっぷり遊んだあとは、城之崎温泉の周辺をぶらり散策。その後は、車で旅館へ向かった。
広い日本庭園、上品な風格のある純和風の建物は数奇屋作り、なんだか別世界に迷い込んだみたい。そして案内された部屋にびっくり。

「うわっ、広い」

和室と洋室、そして一番奥の部屋がベッドルームって、二人で泊まるには広すぎでしょ。
しかも部屋に露天風呂付って、なんとも贅沢。テレビ番組に紹介されそうな宿だな。

「床暖?」

足元が暖かい。部屋を案内してくれた女将さんが、コロコロと笑って。

「はい、うちは、どの部屋も床暖房入れております」

「すごーい。こんな贅沢な部屋、見ただけでもう十分満足」

「ほほほ、楽しいお嬢様ですね」

「ええ、楽しいですよ」

女将さんがお茶を入れてくれる間、部屋をちょこっと拝見。

「トイレ、広っ。洗面所も広っ。贅沢ーっ」

洗面所に並べられた化粧水や乳液、クレンジングもブランド品、ボディクリームまで用意してあるなんて。どんだけーっ。

「先日、社長と奥様がいらしてくださいまして」

ふいに聞こえてきた会話に耳がピクリ、反応。

「母が、ここで食べる蟹が一番好きだって言ってました」

ユキ君の両親も泊ったことがあるんだ。こりゃどう考えても高いよね。諭吉何人連れてきてたっけ?

「失礼いたします」

白い服に白い帽子被ったおじさんが襖を開けた。

「料理長の清水です。本日は当館へお越し頂き、ありがとうございます。お料理に使わせて頂きます、蟹をお持ちいたしました」

たらいの中に青いタグを足に着けたビックリするほど大きな蟹が二匹、ゴソゴソ動いている。

「本日、津居山港で水揚げされた松葉ガニでございます」

うひゃっ、あれが今夜の料理に出るのか。スーパーの冷凍でも結構高いのに、生きてるなんて。部屋だけでなく食事も贅沢だな。
ハッとして、こっそり財布をのぞいてみた。諭吉、三人くらいじゃとても足りないかも・・・・。

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