恋時間ですよ 第5章 Help

小説
Pocket

 第4章最終頁へ戻る

家に帰っても気分が治まらず、イライラしてクッションに八つ当たり。

「バッカみたい。ホント最低、ユキのあほ」

何度も何度もユキ君をあほ呼ばわりした。

「私のドキドキを返せーっ」

クッション、ポカスカ叩いても。

「年下のクセに、なんて奴だよ。彼女いるクセに、彼女いるクセにっ。しかも三人とか、とんでもない遊び人じゃないかーっ」

怒りは治まらない。
机の上では放置したスマホが振動。相手はユキ君からだった。鳴っては切れ、また鳴っては切れを繰り返す。
ひたすらムシした。

翌朝、ユキ君の痕跡だらけのスマホを手にため息をつく。
留守電にメッセージとLINEのトーク。

『舞、怒ったのか。気を悪くしたなら謝る。ごめん。許してよ。なあ、頼むから電話出てくれよ。舞、ごめんて』

知るかっ。

 

週明け、ユキ君が待ち伏せしていないかドキドキして会社へ行ったが、彼の姿はなく。お昼休みの食堂でも彼は姿を見せなくて。もしかして拗ねているのかな。いくら腹を立てても、謝っているのにムシしたのはまずかったかな。

でも彼女がいると思ったら、またムカッときて、しかも複数いると思ったらさらにムカムカ・・・・その後泣きたいような気持ちになって。
ユキ君なんか、って思うのに。
どうしてこんなに切ないんだろう。

「尾上さん、尾上さん」

「あれからユキ君とどこか行った?」

週末のことを聞かせてと、何も知らない三島さんたちは興味深々、目を輝かせている。

「どこも。まっすぐ帰りました」

そっけなく返し、スプーンを手にした。
今日のお昼ご飯はカレー。そう言えば私のカツを奪ってカツカレーにしてたっけ。
美味しそうに食べていた、あの顔が頭の中に浮かんで消えてくれない。

「ああっ、もうっ」

「尾上さん、どうしたの?」

「あ、いえ。ちょっと」

苦笑いで誤魔化した。

嫌になる。どうしてユキ君のことばかり考えちゃうのかな。

もし彼が現れて「ごめん、舞」って隣に座ったら・・・・そしたらどうする?

許す?

許さない?

 

小説更新、諸々のお知らせはtwitterで

PVアクセスランキング にほんブログ村