「すみません、すみません、つい、出来心なんです」
正座で平謝り、スマホを差し出した。
撮った画像を見るウサギさんは真顔だ。怒っているのか、あきれているのか、多分そのどちらかだ。
「センスが感じられないな」
ダメだし?
「お……怒ってないんですか?」
「なんで? でもまあ、このアップは気に入らないな。ボケてる」
「じゃあ、撮りな……あっ」
ウサギさんは私の腕を掴んで、押し倒し、腕の中へ。お互いの頬がぴったりくっついた状態。
ウサギさんは腕を伸ばし、インカメラで角度を確認。
「どうせなら、二人で映っている方がいい」
「えっ」
軽くキスされた。
まさか、キスをしている写真を撮るなんて、しかもすっぴん。
誰にも見せられない。
でもこれは、絶対、永久保存だわ。
「撮影会はもうおしまい」
流出したらまずいだろ、とウサギさんは笑ってスマホを置き、キスの続きを始めた。