ウサギとヒナ 第五話 邪魔者

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「すみません、すみません、つい、出来心なんです」

 正座で平謝り、スマホを差し出した。
 撮った画像を見るウサギさんは真顔だ。怒っているのか、あきれているのか、多分そのどちらかだ。

「センスが感じられないな」

 ダメだし? 

「お……怒ってないんですか?」
「なんで? でもまあ、このアップは気に入らないな。ボケてる」
「じゃあ、撮りな……あっ」

 ウサギさんは私の腕を掴んで、押し倒し、腕の中へ。お互いの頬がぴったりくっついた状態。
 ウサギさんは腕を伸ばし、インカメラで角度を確認。

「どうせなら、二人で映っている方がいい」
「えっ」

 軽くキスされた。
 まさか、キスをしている写真を撮るなんて、しかもすっぴん。
 誰にも見せられない。
 でもこれは、絶対、永久保存だわ。

「撮影会はもうおしまい」

 流出したらまずいだろ、とウサギさんは笑ってスマホを置き、キスの続きを始めた。

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