「舞ちゃん、俺と結婚して」
手を握って、見つめられたら。
「はい」
ひゃーっ、どうしよう。OKしちゃったよー、はいって、はいって、言っちゃったよーっ。
「大事にする。絶対、後悔させないから」
抱き上げられて、ドキン、胸が高鳴った。
ユキ君の顔がすぐそこに。
息がかかるほど近くて。
「ユキ君……」
「舞」
どっぷり二人の世界に浸っていると。
「商店街で公開プロポーズとは。舞ちゃんも、なかなかやるなぁ」
げっ、岩田青果のおじちゃん。配達の帰りか自転車に跨ったまま。
「おーい、舞ちゃん嫁に行くらしいぞ」
うぎゃーっ、そんな、大声で、言いふらさないでーっ。