恋の時間ですよ 第15章 はじまり

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あっという間に商店街の人が集まってきて、店の前に人だかりが出来てしまった。
まるで囲み取材。

「結婚するって、本当か」

「たった今、プロポーズされとったぞ」

「そいつはなかなかやるな、兄ちゃん」

「だろ? 俺もそう言ってやったんだよ」

「ちょっと、いい男だね」

「今はイケメンって呼ぶらしいよ」

逃れるように店へ飛び込めば、お母ちゃんとお兄ちゃんが待ち構えている。

「で、話はついたの?」

「う、うん」

私はユキ君の顔をチラリ。
小さく頷いて、唾をゴクリ、飲み込んだ。

「お母ちゃん、お兄ちゃん、私、ユキ君と結婚する」

ひゃーっ、言っちゃった、言っちゃった。
まだ早いとか、店どうすんのとか、何を言われるのか考えただけでドキドキ。
緊張する私に返ってきたのは。

「良かったね、舞」

お母ちゃんの笑顔だった。

「い、いいの?」

「当たり前だよ、いやだね、この子ったら。反対でもされると思ったの?」

「だって、店が」

「ユキ君と付き合ってんのに、いつかこんな日が来ることくらい想像つくわよ。店はいいから、あんたは自分が幸せになることだけを考えな」

「そうそう、店のことは心配すんな。俺と文香が手伝うから」

「お母ちゃん、お兄ちゃん、ありがとう」

◆◆◆

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