翌日、土方さんと一階のカフェでバッタリ。
ユキ君の件ですっかり忘れていたけど、部長の顔を見て思い出した。
「そう言えば土方さん、昨日、私に何か言いたいことがあったんじゃないんですか」
「あー・・・・」
土方さんはきょろきょろ、辺りを見回している。
「林さんならいませんよ。三島さんと広島までライブ見に行くって今日はお休みとってますから」
なんだ、そうかと部長がほっと息を吐く。
「じゃあ教えてくれないか。その・・・・ご・・・・」
「えっ?すみません、もう少し大きな声で」
「いや、その。だから、ごう・・・こ」
「合コン?」
「わっ、そんなデカい声で」
部長に口を塞がれてしまった。もがっ。部長は私の腕をつかみ、カフェをスタスタ出て行く。部長、まだ珈琲買ってないんですが。
まさかこの寒空に公園まで連れ出されるとは思わなかった。十二月半ばだよ、コートもないのに寒いって。震えていると部長が自販機でホットココアを買ってくれた。
「それで合コンがどうかしたんですか」
「林が参加したかどうか教えてくれないか」
「やっぱり林さんと関係が」
部長は珈琲を口にした後、白いため息を吐いた。
「絶対、誰にも話さないって誓うなら教える。ユキにもだぞ」
「分かりました。誓って言いません」
トンッと胸を叩いて見せた。