ウサギとヒナ 第五話 邪魔者

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 三日間の有給を取得して、木曜日の早朝、東京行の便に乗った。
 朝が早かったせいか、離陸してすぐに睡魔が襲い、目が覚めた時にはもう関東の空の下にいた。
 空港には、ウサギさんが、迎えに来てくれることになっている。

 到着ロビーでウサギさんを見つけ、嬉しくて思わず駆け出しそうになったが、ぐっと我慢。
 私の気持ちなんて知りもせず、笑顔で両手を広げ、待ち構えている。

「ご希望のプレゼントです、おじさん」

 柔らかく触り心地の良い素材で出来た、大きなウサギの抱き枕を押しつけた。
 先日、ネットで見つけて購入したものだ。ちなみに、私の香りつき。飛行機で抱きしめて寝ていたから。
 ウサギさんは抱き枕の向こうから顔をのぞかせる。

「おじさん?」
「知りませんでした。親戚だったなんて」

 嫌味のひとつくらいは言わせてもらわなくては。

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