ウサギさんは軽く頷き「もしかして、怒ってるのか?」と、ひょうひょうとした表情。
「怒らないと思います? ホテルで別れ際、あんなこと言った時にはもう、話がついていたんじゃないんですか」
私は腕を組み、口を尖らせ、ウサギさんを睨む。
「おまけに親戚とか、おじさんとか、嘘までついて」
「嘘とは言い切れないかもよ」
「えっ」
「俺らが結婚したら、宇佐見家と河合家は親戚だろ」
「したらって……してないし」
「言っとくが、俺は結婚前提で付き合っているからな」
「結婚……」
いきなりそんなこと言われても……。
結婚って、結婚って……。
頭の中でリンゴーンと、鐘が鳴り響く。
真っ赤な絨毯がコロコロ転がっていく。
タキシード姿のウサギさんとウエディングドレスを着てブーケを手にした私。
ベールを捲ったウサギさんと誓いのキス。
うひゃっ、どうしよう、想像するだけで、とろけちゃう。