「どうした、まだ酔ってんのか」
「あ、いえ、急に力が……」
立ち上がろうとした時、目の前のお父さんを見て、その理由が分ってしまった。
庭にいた時、お父さんはシャカシャカジャージを着ていた。
今は、ジャージを脱いで、長袖のシャツ一枚と薄着。
たがら胸板の厚さが分る。捲り上げた袖口から見える腕もガッシリして。
逞しい体、超好み。
おまけに厳つい人の笑顔。
ユキ君や真理さんにはない中年の魅力、半端ないほどカッコイイ。
す、素敵過ぎます、お父さん。
頭の上から痛い視線を感じ、見上げるとユキ君がジロッと睨んでいた。
マズイ……。
彼は私の手を取り、耳元で注意する。
「こんな中年のおっさんにまで、トキメクな」
どうやら彼には、バレバレ……。
「ごめんなさい」
ユキ君は、ブスッとした顔でお父さんを睨みつけ。
「親父、袖捲りはやめろよな」
「は? なに言ってんだ、お前」
「由紀、どうしたの?」
その後、テーブルの下で不機嫌な彼にキュッと抓られた。