恋の時間ですよ 第13章 約束 

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とりあえず顔を洗わせてほしい。それからちゃんと化粧して。って、化粧ポーチ持参してたっけ?
キャンパスバッグをゴソゴソ。お泊りセットをチェックしてホッとする。

しかし、こうやって見るとユキ君の部屋って広いよね。ベッドはロングサイズのセミダブルだし。
出窓をのぞけば短くカットされた芝生の庭が見える。もう何軒か家が建てられるくらい広い。
大きな家に広い庭、なんとなく分かっていたけど、やっぱりうちとはえらい違いだな。

「レンガが積んであるけど、あれはなに?」

「ああバーベキューコンロだよ。親父が友だちや近所の人を誘ってよくやるんだ」

「ふーん。あれ? 庭に誰かいるよ」

黒のシャカシャカジャージ姿で、散水ホース手に水撒きしている。顔は見えないけど、もしかして。

「お父さん?」

ユキ君が私の隣へ来て、窓を開けた。

「ああ」

あの人が、ユキ君のお父さん。後姿を見ただけなのにビビッてしまう。だって怖いって噂しか聞かないんだもん。
うー、やっぱり怖気づくな。すごくドキドキして、掌に汗が滲んでいる。
「常識のない娘だ」とか「なにを考えているんだ」とかって叱られたらどうしよう。
ああっ、やっぱ無理、こっそり帰りたい。

「親父ーっ」

ユキ君が声を掛けると、お父さんがホース手に振り向いた。驚いたことに、笑っている。
信じられなくて、ガン見してしまった。

お父さんの第一印象は……似ていない、だった。
ユキ君や真理さんとは違ったタイプ。
強面だけど、若い頃はやんちゃしていたんだろうなって感じの、渋いイケメン。
ひゃーっ、カッコいい。

「やっと起きたか」

うきゃーっ、声まで渋いとか、やばくない?

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