拗ねて、こっちを向いてくれない。
そんな彼が可愛くて、愛しくて。
広くて逞しい背中に抱きついた。
「いつか、その時がきたら、続き聞かせて?」
「ああ」
温かくて、心地良くて。
ずっとこうしていたいなって思った。
「ユキ君」
「ん」
「なんでもない。呼んでみたくなったの」
「なんだ、それ」
「ねぇ」
「ん」
「もうちょっとだけ、こうしてていい?」
「いいよ」
私と同じように、ユキ君も不安なのかな。
ユキ君の腰に巻き付けた私の手にユキ君の手が重なる。
「舞、親父とお袋に会ってくれるか?」
私は黙って頷いた。
重ねた大きな手にほんの少し、力がこもる。
うーん、ここが彼の部屋じゃなかったら、裸にして触りまくりたい気分だ。