「さっさと降りて来いよ。腹減ったぞ」
「ああ、今、顔洗うから、待ってて」
「なんだ、顔もまだかよ」
「ああ」
「しょうがねぇな」
何故か、ニヤリと笑うユキ君のお父さん。そしてホースの先をこっちへ向けた途端、ユキ君がハッとして、出窓を閉めようとする。
が、間に合わず。
バシャバシャバシャーッ。
「ぎゃぁっ」
「うおっ」
信じられないことに、部屋に向かって水をぶっかけてきた。
「クソ親父ーっ」
濡れた顔を掌で拭ってユキ君が叫ぶと。
「あははははは」
庭から笑い声が。
見るとお父さん、お腹抱えて爆笑。悪戯好き? いやいや、ちょっと度が過ぎているのでは。
「舞、大丈夫か?」
「顔も髪もワンピースも濡れちゃったよ」
噂とかなり違うんだけど、あの人、本当にうちの会社の社長と同一人物なの?