ユキ君が目の前で掌を広げて見せた。彼の薬指には買ったばかりの指輪がキラキラしている。
そして私の薬指にも。
「お前以外の女と付き合うつもりなんてねぇから。こいつを外す時があるとしたら、本物をはめる時だ」
ほ、本物って。
う、うひゃーっ、それって、それって。
「ユ、ユキ君」
「待ってろ。早く結果出して、本社に戻るから」
ユキ君の愛は、いつも直球。
ど真ん中めがけて飛んでくる。絶対、私が受け取れるように、寸分の狂いもなく。
「そしたら、お前の実家の近所で住む部屋を探して。それならいいだろ?」
嬉しくて、なんかもう泣きそうなんだけど。思わず彼にしがみつた。
「大好きだよっ。捨てないでね」
「勝手に捨て猫になんなよ」
「間違って捨て猫になってたら、拾ってくれる?」
「首輪も着けてるしな。どっかで迷子になってても、勝手に捨て猫になってても、ちゃんと見つけて連れて帰ってやるよ」
うにゃーっ。