恋の時間ですよ 第13章 約束 

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潰れかけた工場の経営をユキ君が任されることになった。
生コンの朝は早い、しかも通勤するには遠いこともあり、工場の近くで部屋を探したユキ君に同棲を持ちかけられたのは少し前のこと。

でも。
『顔に書いてある。無理って、な。まぁ、分るけど。舞が家を出たら、おばさん一人になるもんな。俺も舞を悩ませたくないし、もういいよ。この話はなかったことにしよう』
あれは私を気遣って、なかったことにしてくれたんだよね。

工場を仕切ることも一人暮らしも色んな意味で不安を抱えているに違いない。
家事なんて、多分、何一つやったことがないだろうから。
「私がやってあげます」「ご飯作ってあげます」なんて女性に言われたら簡単に部屋へ入れちゃうかも。
やだ、そんなの。
でもだからって、毎週、彼の部屋を訪ねるとか無理だし。
浮気が本気に……。

「もし他に好きな人が出来たら。その時は、私のこと……捨て……」

ピシッ。

「ギャッ」

デ、デコピン、くーっ、痛い。おでこを押さえていると。

「あほか、お前は」

あほ呼ばわり。
しかも眉間にシワ寄せて睨んでいる。

「だって」

「何のために、これ買ったと思ってんだよ」

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