恋の時間ですよ 第13章 約束 

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指輪を見せてください、ユキ君が言うと店員さんはスマイルで、どんなデザインがお好みでしょうか、とガラスケースの鍵を開けた。

「俺も着けるからシンプルなのがいいな」

「ユキ君も?」

ちょっと驚いてしまった。だって意外だったから。

「前の俺なら死んでも着けねぇと思うだろうな。束縛されてるって言うか、首輪はめられているみたいだろ」

「それなのに?」

「指輪してれば、決まった相手がいるって分かるからな」

「モテる人は、大変だね?」

嫌味っぽくとられたかな? チラッと横目で見上げると、眉をしかめているユキ君の顔が見えた。

「ホント、面倒なんだよな。結婚してるって思ってくれた方が助かる」

うーん、モテる苦労は、あまり共感できないけど、ほんとうにたいへんなんだ。本人はあまり嬉しくないらしい。

「こちらのペアリングは、如何ですか? あとは、こちらも人気です」

チョイスされた指輪がケースの上に並ぶ。

「舞、どう?」

どう? と聞かれても、正直よく分からない。
だってアクセサリーなんて、今まで身につけたことがないし。返事に困っていると。

「ちょっと、はめてみて」

プラチナの指輪に小さなダイヤの粒が、キラキラ。こんな小さなアクセサリーなのに、目を奪われて。まるで魔法をかけられたみたい。
ほぅと甘いため息まで零れてしまう。

「綺麗」

「じゃあ、これにする?」

幾らするんだろう? タグを見てビックリ、十九万円?
高っ! 一桁違う。慌てて指輪を外した。魔法が消えた瞬間だった。

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