ユキ君の胸元に顔くっつけてスリスリしていると、私の頭の近くから電話の音がした。ユキ君のスマホ? 休日なのに朝早くから誰だろう。
「ああ、起きたよ。朝飯? 食べると思うけど聞いてみる」
ホテルのスタッフ? きょとんとしていると。
「朝飯食える?」
「うん」
朝食付きのラブホテルなんてあるのか、知らなかった。
ゆっくり起き上がり、身にまとっているものを見て、ん? と首を傾げた。
Tシャツだ。かなり大きくて丈が膝上あたりまである。しかもこれ、どこかで見た記憶が……。
どこだっけ? シャツの裾を引っ張り、ユキ君に何気なく問う。
「このシャツって、ホテルの?」
「俺のだよ」
「ふーん」
私の服はきちんと折りたたまれて机の上に置いてある。それを手にしてから、私は辺りをぐるりと見回した。
ホテルっぽくない。
ベッド脇に腰を下ろすユキ君はご機嫌な様子、にこにこしている。
「ここ、どこ?」
「どこだと思う?」
クイズ?
「ホテル……じゃないよね?」