「工場が軌道に乗ったら俺、お前に……」
その後続く言葉に期待してか、私の心臓はやばいくらいドキドキ。
ユキ君の顔をまじまじと見つめた。
らしくないくらい真顔、耳を真っ赤にさせて。
なんだかそれがすごく可愛くて、ふいに指先を伸ばし、耳たぶをつまんでしまった。
驚いたユキ君はそのまま後ろへ尻もち。左耳を手で覆って、口をパクパク。
「な、なにすんだよっ」
「ごめん、つい」
「くそっ、せっかく決めようとしてたのに」
前髪をクシャッと握って立ち上がり、背を向ける。
どんな顔をしているのか見えないけど、まだ耳は赤い。
「ごめん、邪魔して。続き言って?」
「もういい」
「怒ってる?」
「怒ってねぇよ」
「じゃあ、拗ねてる?」
「誰がっ」