「やっと順番が来たな」
「えっ、あ、ホントだ」
お賽銭、お賽銭。ポケットに入れていたお賽銭を握りしめる。
私のお願い事は・・・。
ユキ君の任された仕事が成功しますように。それからユキ君の側にずっといられますように。それから、それから。
「願い事をする前に、名前と住所と年齢は言った方が良いって知ってた?」
「そうなの?」
「そうじゃないと、神様もどこの誰に何をお願いされたか分からないだろ」
「そ、そうか。分かった」
神様、私は尾上舞です。環状線の駅の側にある商店街の・・・。
うわっ、時間が足りないよ。願い事、全部言えるかな。
ふと、手を合わせるユキ君の横顔を見たら、ぼーっと見惚れてしまい、何故かさっきまで考えていた願い事は全部消え。
神様へお願いしたのは。
『神様、お隣にいる結城由紀君の願い事を叶えてください』
そして。
引いたおみくじには、神様からのメッセージが。
『願い事 叶う』
『恋愛 嫉妬すべからず』