恋の時間ですよ 第2章 年下のくせに

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お母ちゃんは椅子を引き、ユキ君の隣に座った。頬杖ついて彼の顔を遠慮なくまじまじと観察。

「どこでうちの娘と知り合ったの?大学が一緒だった?まさか彼氏だとか言わないわよね」

「お母ちゃん、やめてよ。昨日面接に行った時、お世話になったの。そのお礼にご馳走するって店に誘っただけよ」

焼きソバ炒めながら説明するとお母ちゃんは「なんだ、つまんないわね」と残念そうにつぶやいた。しかし何を思ったのかお母ちゃんは、ずいっとユキ君に顔を近づけて。

「でも、これも出会いだと思わない?」

そんなこと言われても困るって。ほらユキ君も苦笑いしているじゃない。

「ええ、そうですね」

「ああ見えて舞は、男知らずだからね。簡単に落ちるよ」

ユキ君にこそこそ耳打ち。聞こえているって。

「へぇ。舞、彼氏いたことがないのか」

悪かったな。私は無視して焼きそばにソースを掛けた。ジュワーッという音と共に湯気が立ち込める。

「そうなのよ。だから真理さんに紹介してもらった会社で、社内恋愛して結婚する気なのよ。男が出来ない理由を店のせいにするんだから困った子よね」

「お母ちゃんっ」

「ははは、何だそれ。社内恋愛する為に就職したのかよ」

ユキ君は手を叩いて笑っている。バカにして、腹立つな。

「悪い?店で働いていても出会いなんて全然無いんだよ。客のほとんどは家族連れか、おっちゃんかおばちゃんで、独身の男性が一人で来るなんてことは滅多とないんだから」

「なるほど、切実だな。ま、頑張れよ」とユキ君、涙目で言う。言われんでも頑張るっての。

「俺、顔広いし、紹介してやろうか」

「結構、運命の人を探すから必要ないよ」

「ふーん、運命ね」

そう、まだ出会っていないだけで、私にもきっと運命の人がいる。
まだ24だし、これからだもん。就職も決まったんだから、恋人だって出来るはず。

待っててね、運命の人。

 

第3章へ続く

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