気合を入れ、エレベータに乗り込んだ。が、硬いものにぶつかり、はじき飛ばされた。
「いたたた」
いったい何にぶつかったの?尻もちをついた状態で顔を上げると、若い男性が私を見下ろしていた。ツーブロックショートの髪型がよく似合う爽やかなイケメン、長身で均整のとれた体格はまるでモデルを兼業するスポーツ選手みたいだ。この人もここの社員なのかな。
「すみません、大丈夫ですか」
大きな手がスッと目の前に。私はその手を取らず、「大丈夫です」と断ってから一人で立ち上がった。
「ケガしてない?」
「はい」
ちょっとお尻は痛いけど。
ドキッとした。だって顔をのぞき込んでくるんだもん。思わず、数歩後ずさり。
「本当に平気ですから」
逃げるようにエレベータへ乗った。