恋の時間ですよ 第8章 異動

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どこへ連れて行こうか。旅行なんてほとんどしたことが無いと言っていたもんな。

俺と一緒ならどこでもいいって、くそっ、可愛いこと言ってくれるから困るよ。これはもう絶対、喜ばせないと。

とは言え、俺もデートらしいデートってほとんど経験がない。いつもホテルか彼女の部屋でやって、終わったら帰るコース。女を喜ばそうなんて思ったこともない。舞にはそんな扱い、絶対出来ねぇ。

「つーか、俺が無理だな」

嫌われたくねぇもん。
他の女とは違う。遊びじゃない、真剣に付き合っていると舞に分かってほしい。毎日会いたいし、離れている時は声が聞きたくてしかたない。キスしたいし、男だからもちろんやりたい。でも、それは欲望の吐け口としてではなくて、すげぇ大事に思ってるって伝えたいんだ。だからこの旅行は、なにがなんでも成功させないと。ああ、マジでどこへ行こうか、悩むわ。

車で移動中、スマホで旅行先を検索していると。

「何やってんだ?」

ハンドルを握る真理が、横目で薄笑いを浮かべている。

「週末に泊まれそうなところ探してんだよ」

不愛想に返す俺を見て真理がニヤニヤ。

「舞ちゃんか」

全部お見通しかよ。

「・・・だったら何だよ」

「いや、可愛いなって思ってさ」

「うっ、煩せーよっ。可愛いって言うな」

「熱出すほど舞ちゃんが好きだもんな」

「それ、舞に言うなよ。もし言ったら兄弟の縁切るからな。本当だぞ」

「分かった、分かった。ムキになるな。けど、彼女に嫌われたって知恵熱出すとか、お前ってホント可愛いよ」

「ち、ちげーってんだろ。あれは風邪だ」

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