キッチンへ行き、冷蔵庫を開けた。
果汁百パーセントのオレンジジュースに手を伸ばしかけた時、誰かが私の視界を奪った。
目隠し、こんなことをするのは。
「ウサギさん」
「はずれ、正人君です」
振り向くと正人さんが、にっこり笑っているではないか。
「なっ、何するんですか。う、ウサギさんは?」
「トイレに行った」
冷蔵庫と正人さんに挟まれて、身動きが取れない。
どいてほしいんだけど。
「あの」
「ねぇ、ヒナちゃん。俺たちもっと仲良くなった方が良いと思わない?」
「え……」
耳元で囁くように言われ、体が硬直。
「君、ここに越して来るらしいね。俺も楽しみだよ」
「ま、正人さん」
「真っ赤になって、可愛いよな。ほんと口説きたくなる」
神様、これはどういうことでしょうか。
想定外の展開です。