最初は仏頂面だったウサギさんもワインで乾杯する頃には、笑顔を見せてくれるようになった。
「誕生日、おめでとう」
「おめでとうございます」
「もう喜ぶ歳でもないんだけど、やっぱ嬉しいな。ありがとう」
二人っきりも良いけど、賑やかなのも楽しい。
朱里さんが作ってくれたサングリアも美味しいし。
「ヒナ、飲み過ぎるなよ」
「えっ、あ、はい」
「外じゃないんだし、別にいいじゃない」
「ですよねぇ」
「だめ。ジュース取っておいで」
ウサギさんが、私からグラスを取り上げた。
まだほろ酔いだし、もう少しくらいなら平気なのに。
「また、いつかみたいに寝てしまうぞ」
ウサギさんが、ニヤリと笑う。
「まあ、寝込み襲うのも楽しいかもな。起きてるときには出来ないこともやれそうだし。あんなこととか、こんなこととか」
あんなこと? こんなこと?
どんなことーっ?
「ジュ、ジュースにします」