「じゃあ、有給取って東京行きます」
「決まり、さっそくチケットの手配しておくか。帰りは月曜の午後便取るけど、大丈夫か?」
「あ、はい。大丈夫です」
ウサギさんはスマホで飛行機の便を確認。予約したチケットを私のスマホへ転送した。
「いっそ、越してくる?」
「それは無理ですよ。異動でもない限り」
スマホをポケットへ入れようとするウサギさんの手が一瞬止まる。
そして私の目を真っすぐに見て聞いた。
「異動の話があったらいいってこと?」
もし異動になったら……。
遠距離しなくて済む。ウサギさんとずっと一緒にいられる。
でも、いくらウサギさんでも貿易チームの人事まで、どうにか出来るはずがない。
私は東京チームのメンバーを思い浮かべる。岡田さんは、定年まであと三年ある。
道長さんは産休から戻ってきたばかりだ。他の人も辞める気がしない。
その日が来るのは、まだ何年か先になるだろう。
「そうですね。その時は……」
☆彡☆彡☆彡☆彡☆彡