ウサギとヒナ 第二話 繋がる糸

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 大急ぎでシステムの入力状況を確認し、不足の情報を足す。それから中島さんへインボイスのコピーを手渡した。
 
「お願いします」
「ありがとう」

 引き出しから食券カードを取り出し、ハンカチとスマホを掴んでエレベーターホールの前へ行く。
 昼間ってエレベーターがなかなか来ないんだよね。ああ、お腹空いたな。ランプが点滅するのを今か今かと見つめていると。
 チーン、背後からエレベーターの到着音が聞こえ、振り返った。

「失礼します」

 乗り込もうとした私の足が止まる。 

 そこに思わぬ人物が乗っていたからだ。驚きで飛び出しそうになった彼の名前をごくり、飲み込んだ。
 数人の社員が乗るエレベータ、中央に彼が立っている。

 思わぬ出来事に、片足乗せたまま、固まってしまった。
 まるでコンクリートで塗り固められたみたいに足が動かない。目の前にいるウサギさんは目を細め、笑いを堪えている感じ。
 乗る? 
 乗らない? 
 行ってもらう? 
 ここで乗らなかったら変に思われるよ。なんとか足を前へ動かし、エレベーターへ乗り込んだ。

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