ウサギとヒナ 第二話 繋がる糸

小説
Pocket

「南通ガーメントのインボイスコピーくれる? ネゴ書類到着したんだけど」

 インボイスはと海外の輸出入に必要な書類の一つ。
 うちの会社ではメーカーからメールで送られてきた通関申告用に作られたインボイスを元に決済している。
 中島さんは、ナンバーの書いたメモを差し出した。

「資金化しているから、明日、決済したいの」

 資金化、つまり金利が発生する。

「すぐ用意して、持って行きます」

 机の上に積み重ねた書類へ手を伸ばした。
 インボイスを揃え、立ち上がりかけて、ふとシステムへの入力状況を確認していないことに気づき、席へ戻る。
 キーボードを打っていると、向かいに座っている先輩がスマホを手に立ち上がった。

「ヒナちゃん、お昼行くよ」

 壁に掛かった時計を見る。もうそんな時間?

「すみません、先、行っといてください。すぐ追いかけます」

小説更新、諸々のお知らせはtwitterで

PVアクセスランキング にほんブログ村