ウサギとヒナ 第二話 繋がる糸

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 ウサギさんとデートしたのは十日前。あれから電話どころかLIMEトーク一つない。
 遠距離なんて無理って断ったから、あっさり引き下がった? 
 それならそれで良かったじゃない。そう思うのに、やたらスマホを気にしている自分がいて……ううっ。

 ギュっと固く目を閉じた。ううん、これで良かったんだ。
 ウサギさんはカッコ良い、仕事も出来る。だからきっとモテる。
 遠距離恋愛は大変だって聞く。浮気されないかずっと心配してなきゃならないし。

 でも、週末大阪まで会いに来てくれると言った。
 電話だってLIMEトークもするって。でも、でも、会いたいときに会えないんだよ。
 でも、でも、でも。
 でも、でも、でも、でも。

「やっぱ無理……」
「ヒナちゃん、何が無理?」

 声を掛けられ、体がビクッと反応。

 脇に経理の中島さんが立っていた。不思議そうな顔で私を見ている。無意識に声が出ていたなんて、私、ちょっとやばくない?

「あ、いえ。何でもないです」

 手を振って、へらへら笑って誤魔化す。ああ、もう。仕事中に、何をやっているんだろう、私ってば。

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