お勧めされた赤のワンピを手に試着ルームへ。
ウサギさんお勧めだけはある。滑らかな素材、着心地が良くて、暖かい。うーん、買っちゃおうかな。
試着ルームのドアを開けるとウサギさんが待っていた。ワンピ姿の私を見て、うん、いいねと頷き、スタッフを呼んだ。
「これ、包んでくれる?」
まさか、買ってくれるとは思っていなくて、お金払いますと言ったら。
「ちょっと遅いけど、誕生日プレゼント」
それなら、とありがたく頂くことにした。頑なに断るのもね、悪いかな、って思って。
「ありがとうございます。宇佐見さん、誕生日はいつですか」
「俺? 十二月十日」
「十二月……。誕生日までに、何か、欲しいもの考えておいてください」
「そうだな……」
「あまり高いのはナシですよ」
「ヒナ枕」
「枕ですか。ま……」
思わず立ち止まった。
私に枕になれと言いたいのか?
ウサギさんが振り返り、ニヤリと笑う。
「分かりました。抱き枕ですね。探しておきます」
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