ウサギとヒナ 第一話 運命の糸

小説
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 私が入社したスタイリー社は、二十代から四十代を対象としたアパレル企業で、私は三ヶ月の研修期間を終え、貿易部へ配属。商品や原料の通関書類を揃えたり、乙仲と呼ばれる海運貨物取扱業者と連絡を取ったりと、輸出入に関わる業務をするのが主な業務で、商品に触れることはない。

 唯一、あるとすれば、三ヶ月に一度のペースで行われる会社近くの商業ビルを借りてのセールくらいだ。

「ブランド担当の広田とこちらは佐伯さんです。あと、責任者の……」

 白シャツに黒いデニム、ハイカットスニーカーを履いた広田さんが自己紹介を始めた。
 ツインテールに黒縁の眼鏡、黒いワンピースに白い手袋をはめているのが佐伯さん。ちゃんと覚えておかないと、呼ぶ時、困るもんね。

「あ、あそこだ」

 通路からデニムのジャケットに黒いクロップドパンツ、素足にローカットの白いスニーカー履いた人がひょいと現れる。

 この人がどうやら責任者らしい。ブランドの人って何着ても、どこか雰囲気が違って見えるから不思議だな。

「ウサギさん、みんな揃ってますよ」

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