ウサギとヒナ 第一話 運命の糸

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 その後、運ばれてきたミックスも美味しくて、食べるのに夢中になってしまい。

「やっぱ、粉もんて、いいよな」
「ですね」

 どーでもいい笑い話に花を咲かせ、気づいたらお会計。
 お腹も満たされ、店を出て、上機嫌でお礼を言い、ハッとする。
 しまった、目的をすっかり忘れてた。
 どうしよう、もう一軒、連れて行ってとお願いするのは、さすがに厚かましいような……。
 珈琲でもどうですか、私、奢りますから、なんて屋号長に言うほどの度胸はない。でも駅の改札口はすぐそこだ。考えあぐねていると。

「お腹、いっぱいになった?」
「はい」
「まだ時間ある? もう一軒」
「あります、行きます」
「食いつき、いいなぁ」
「だって、屋号長のお誘いですよ。断れませんよ」
「それも、覚えておくよ」

 ウサギさんが意味深に微笑んでいることも知らず、私は小さくガッツポーズ。
 よしっ。

☆彡☆彡☆彡☆彡☆彡

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