ここに愛がある 第一章 チャンスの神様

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見知らぬ相手を誘うなんて、生まれて初めてで、めちゃくちゃ勇気がいった。
でも、このままお別れしてしまったら、もう会えない、そう思ったら引き止めずにはいられなかった。

「悪いけど俺」
「お願い、このままサヨナラしたくない。私の排気ブレーキが鳴ったの」
「排気ブレーキ?」

チャンスの神様は、前髪しかない。
だから、迷っていたら逃がしてしまう、って誰かに教わった。
私は彼を見て、神様の髪を引っこ抜いてでも掴かまなきゃって思ったんだ。

「強引だね」
「だめ、ですか」

イケメンさんは少し困った顔で、チラッと視線を横に向ける。

「そこのラーメンでいいかな。あまり時間がないんだ」

自販機の隣に見えるラーメン来来軒の暖簾。風でパタパタなびいている。
話せるならもうどこでもいい。
嬉しくて、元気いっぱい返事した。

「はい」

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