「あら、ピッタリだわ。お直しも必要ないみたいね。それによく似合ってる。ねぇ、由紀」
「ああ、すごく似合ってる」
今日はユキ君の実家へ来ている。
ユキ君のお母さんのウエディングドレスを試着しに来たのだ。
結婚式は、ハワイに住んでいるお婆ちゃんにも見せたいからということで、年末に船上で挙げる予定。
「でも、本当にいいんですか。お友だちが作ってくれた大切なドレスなのに」
「これね、結婚式で着るはずが、当日入らなくて。出産の後で写真を撮る時に、着ただけなの。だから、ドレスも喜んでいると思うわ」
お父さんがお母さんの肩を抱き。
「由紀、妊娠させたら、面倒だぞ。式までは避妊しとけよ」
「もうっ、誰のせいだと思ってんのよ」
「俺か?」
「違うとでも?」
「奈美、怒った顔も可愛いな」
うひゃっ、お父さん、ほっぺにちゅーした。
ユキ君は、何も見なかったように素知らぬ顔。こういうのも慣れなきゃいけないんだよね。
「そーやってすぐ誤魔化す。ちょっ、一久」
お母さんを抱きしめて、お父さんは、とても楽しそうに笑っている。
何十年経っても仲良しな夫婦、私たちもそうなりたいね、ユキ君。そう思いながら隣にいる彼を見る。
すると彼は、私の手を握り満面の笑みを浮かべ、耳元で囁いた。
「自信ある」
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