丸椅子に腰かけると緊張感が倍増。落ち着け、落ち着け、胸に手を置いて、深呼吸。
昨晩悩んで考えたセリフを頭の中で復唱。
『ユキ君と一緒に暮らすことにしたの。もう決めたから』
やっぱりここはズバッとハッキリ言わなくちゃ。ヨシッ、心を決め、口を開きかけた時。
「お母さん、お兄さん」
突然、ユキ君が立ち上がった。
そしてズバッとハッキリ。
「俺に舞さんをくださいっ」
あのー、ユキ君。
それは、結婚する時のセリフですよ?
「あんたたち、結婚決めたの?」
ほら勘違いされちゃったじゃない。
ユキ君ってば、私以上に緊張してるのかも。
「違うの、お母ちゃん。そうじゃなくて」
「俺、最初から決めてました。結婚するなら舞しかいないって」
えっ、えっ、えええええーっ。