恋の時間ですよ 第15章 はじまり

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「待ってよ、ユキ君。話が違う」

「違う? どこが?」

「ちょっと来て」

私はユキ君の腕を引っ張り、外へ連れ出した。
腕を組み、指でこめかみを押さえ。

「同棲するんじゃなかったの? なんでいきなり結婚?」

「同棲させてくださいって頼むより、結婚させてくださいって言う方がいいかなって思ったから」

「何その軽いノリ」

「軽くはないぞ。真面目だぞ。何が気に入らないんだよ」

「気に入らないよ」

思わず声を張り上げてしまった。
だって、だって、私、まだ。

「プロポーズしてもらってないっ」

だけどユキ君は、ケロッとした顔で。

「したろ」

すっとぼけたことを言うではないか。いくら私でも、プロポーズされていたら覚えているわいっ。

「してないっ」

「予約しただろ」

「予約?」

はて、思い当たらないんですけど。首を傾げる私の肩にユキ君の両手が乗った。

「忘れられていたのかぁ、そうかぁ、寂しいな。俺の扱い、そんなもんかぁ」なんて言われても。

記憶ないし。

「初めて旅行した日、俺がデキ婚でもいいって言ったの覚えてない?」

デキ婚?
割り勘でもめた時にそんな話が出たっけ……。

「あれがプロポーズ?」

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