恋の時間ですよ 第11章 嫉妬

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まずは生ビールで乾杯。

「あーっ、美味い」

三人とも完全親父状態、生ビールを一気に半分飲み、プハーッと息を吐きながら手の甲で口を拭く。

「残業の後のビールって、最高」

「なんか、おっさんらと来てるみたいだな」

苦笑いする部長を尻目に、田口さんがビールのお代りをする。ついでに大根サラダと鶏モモのタタキも注文。そうこうしているうちに、鍋が煮立ってきた。さっそく器へスープを注ぎ、味見。

「美味しい、何これ」

「ああ、本当だ。いける」

「でしょう」

箸袋を見ると、他にも二店舗出していることが判明。メニューを広げてみた。値段もコース料理に飲み放題つけて四千円って書いてある。ちょっと、いいかも。今度、ユキ君誘ってみよう。
それにしても、田口さんて、気が利く人なんだな。皆のお皿にもつ鍋をよそってくれたり、スープの追加や野菜を注文したりと、会社と同じようにテキパキ動いて。思わず感心してしまった。どうやら土方さんも同じことを思ったらしく。

「いい奥さんになるな」

褒めの一言。でも田口さんはあまり嬉しそうではなく。むしろ、不満そうな顔をする。

「そうですか?でも彼氏は、そう思ってないみたいです。なかなかプロポーズしてくれないし」

「彼氏がいるのか」

「いますよ。もう三年半、同棲してるんですけど。結婚のけの字も言ってくれません。私のどこが、悪いんでしょうか」

「楽なんだろうな」

部長はグビッとビールを飲み干し、ジョッキを軽く持ち上げお代りを注文した。

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