「まさか」
思わず大きな声を出してしまった。そこまでハッキリ否定する?土方さんは苦笑い。いやいや、ここはハッキリさせておかなくては、マズイでしょう。これ以上、ユキ君に疑われたくないもん。
「林のことで相談に来たんだよ」
「林?」
ユキ君が首を傾げる。
「いつも私と一緒に食堂でお昼している先輩だよ。もう、名前くらい覚えてよね」
「あいつが合コン行くって言うから。本当に行くつもりか、尾上さんに確かめてもらいたくて頼みに来たんだよ」
ユキ君の険しい顔が和らぐ。分かり易いな、もう。
「なに、土方さん。林さんのことが好きなのか」
「心配なんだよ。俺への当てつけで合コンへ行こうとしてるから」
私は目を瞬かせた。
土方さんが恋人の妹を心配する、それは分かる。林さんが土方さんを嫌うのは、亡くなったお姉さんのことが原因、これも分かる。分からないのは、当てつけで合コンへ行くってこと。ちょっとおかしくない?普通、当てつけってのは、心配させたいとか、嫉妬させたいとか、そういう気持ちがあるからで。
「いまいち、二人の関係が理解できないんですけど」
「俺は全く分からねぇ」
そりゃそうだ、話の途中で参加しても分かるはずがない。