なんつータイミングの悪さ・・・。
おろおろする私を尻目に、ユキ君は土方さんの隣にドカッと腰を下ろした。
カウンターに肘をついて、土方さんに体を向けて、睨み付けて。
見るからに態度悪いんですけどーっ。
「営業時間、とっくに過ぎてんのに。何してるんですか」
「ユキ、誤解するなよ」
土方さんは苦笑い。だけどユキ君はむすっとしたまま。
「この状況で、誤解するなって言うのは無理な話だろ」
怒ってる、絶対、怒ってる。
「ユキ君、本当に違うんだって。わ、私が相談に乗ってもらいたくて、呼んだの。ほら、部長は仕事で遅いし、私も店の後片付けがあったから」
ユキ君が勢いよく立ち上がったせいで、椅子がこけそうに。それをすかさず土方さんが手を伸ばし、キャッチ。
「相談なら俺にすればいいだろ」
「そ・・・・それは、ユキ君には言いにくいことだから」
「俺に話せないって、どういうことだよ。土方さんじゃないとダメな話なのか。お前の友達とか、会社の先輩とかにも言えないことなのか」
どうしよう・・・。あーん、困った。いい訳しようにも何も思い浮かばない。
「仕事の相談なら、会社でしろよっ。なんで家へ呼ぶ必要があるんだよ。しかも二人っきりで」
「家って、お店だよ。それに二人っきりって言っても二階にはお母ちゃんがいるんだし」
「俺が、相談に乗ってもらってたんだ」
土方さん?
「プライベートのことでな。あまり人に聞かれたくない内容だから、店で話そうと言ってくれた彼女の好意・・・・」
ユキ君がちょっと待て、と土方さんの言葉を遮った。険しい顔で、口の端をヒクつかせ。
「プライベートな相談するほど、親しい関係なのか」