恋の時間ですよ 第6章 初めての

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日曜日の三好は昼間だけの営業。忙しいのは一時だけ、後は数えるほどしか客も来ず。今もお客さんはカウンターを挟んで私の前に座っているユキ君だけ。こんなに暇で大丈夫かなと心配になる。

トンちゃん焼きそばダブル、ソースを掛けるとジューッと音を立て、水蒸気が上がった。

「美味そうだな」

ユキ君が鼻をくんくん、大きなわんこ、ラブラドールみたい。

「そうだな、じゃなくて、美味いの」

熱々の焼きそばをユキ君の前に持っていく。待ってましたと言わんばかりに割り箸と小皿を手にして「頂きます」と言い、パクパク食べ始めた。美味しそうに食べる彼を眺めていると、カラカラと入口のガラス扉が開き、暖簾と白い袋を手にしたお母ちゃんが店の中へ入ってきた。

「ただ今。坂田さんから、カステラをもらったわよ。忙しかった?」

坂田さんは商店街に店を持つお団子屋さん。そこの奥さんはカステラが好きで、頻繁に二駅向こうの東屋さんまで行き、カステラを購入。つい買い過ぎて食べきれないからと近所の商店街仲間に配っているのだ。

「ううん、暇だったよ。連休だし、いい天気だから、皆、遊びに行ってるのかもね」

「デート日和だよ」

にこにこして言うユキ君にお母ちゃんが視線を向ける。

「これからデートなの?」

「はい」

「だったら彼女も店に連れて来れば良かったのに」

ユキ君は、チラッと私の方を見てニヤリ。

「今日の相手は、彼女じゃないんです」

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