今日、ユキ君とデートするのはこの私だ。金曜日の夜中にやらかした失態のお蔭で、ユキ君に借りを作ってしまい、デートの約束をするはめに。ああ、何でいつも彼にみっともないところばかり見せてしまうのか。
「はぁ・・・・」
鉄板についたコゲをこそぎながらため息。
「舞も出掛けるんだっけ?」
「えっ、う、うん。友達と約束してるの」
ホントに、何が悲しくて彼女のいる男とデートなんて・・・・。
「はぁ・・・・・」
「なに、大きなため息ついちゃって、どうしたのよ、ねぇ」
お母ちゃんがユキ君に向かって言うと、ユキ君も。
「ね」
ね、じゃねぇだろ、誰のせいだ。いや、原因は私が作ったんだけど。
*
片づけを済ませ、向かったのは待ち合わせをしているパーキング。車の中でシート倒し、スマホをいじっているユキ君が見えた。
コンコン、ガラスをノックする。気づいた彼はシートを起こし、ドアロックを外した。
「お待たせ」
助手席へ乗り込むとユキ君が顔を近づけてきて、くんくん匂いを嗅ぐ仕草をする。
「風呂、入ってきたのか」
ドキッ。
「えっ、あ、シャワーだよ。お好み焼きの臭いが染みついてたから」
しどろもどろのいい訳。
「別に気にしないのに」
じーっと見つめてくるユキ君にドキドキ。
「な、なに?」
「いや、舞が可愛いから、見惚れてた」
照れもなくサラリと言う。
「あ、暑くない?窓、開けても?」
「いいよ」
張り切ってるみたいに思われたかな。やっぱり、フレアスカートじゃなくてパンツにしておけば良かったかも。男の人と二人で出掛けるなんて初めてだし、なにを着て行こうか、すごく迷ったのは確かだ。お陰で昨夜はベッドの上が洋服の山となってしまった。
「それで、どこに行くの?」
「海遊館」