恋の時間ですよ 第6章 初めての

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今日、ユキ君とデートするのはこの私だ。金曜日の夜中にやらかした失態のお蔭で、ユキ君に借りを作ってしまい、デートの約束をするはめに。ああ、何でいつも彼にみっともないところばかり見せてしまうのか。

「はぁ・・・・」

鉄板についたコゲをこそぎながらため息。

「舞も出掛けるんだっけ?」

「えっ、う、うん。友達と約束してるの」

ホントに、何が悲しくて彼女のいる男とデートなんて・・・・。

「はぁ・・・・・」

「なに、大きなため息ついちゃって、どうしたのよ、ねぇ」

お母ちゃんがユキ君に向かって言うと、ユキ君も。

「ね」

ね、じゃねぇだろ、誰のせいだ。いや、原因は私が作ったんだけど。

 

 

片づけを済ませ、向かったのは待ち合わせをしているパーキング。車の中でシート倒し、スマホをいじっているユキ君が見えた。
コンコン、ガラスをノックする。気づいた彼はシートを起こし、ドアロックを外した。

「お待たせ」

助手席へ乗り込むとユキ君が顔を近づけてきて、くんくん匂いを嗅ぐ仕草をする。

「風呂、入ってきたのか」

ドキッ。

「えっ、あ、シャワーだよ。お好み焼きの臭いが染みついてたから」

しどろもどろのいい訳。

「別に気にしないのに」

じーっと見つめてくるユキ君にドキドキ。

「な、なに?」

「いや、舞が可愛いから、見惚れてた」

照れもなくサラリと言う。

「あ、暑くない?窓、開けても?」

「いいよ」

張り切ってるみたいに思われたかな。やっぱり、フレアスカートじゃなくてパンツにしておけば良かったかも。男の人と二人で出掛けるなんて初めてだし、なにを着て行こうか、すごく迷ったのは確かだ。お陰で昨夜はベッドの上が洋服の山となってしまった。

「それで、どこに行くの?」

「海遊館」

 

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