恋の時間ですよ 第3章 気になる存在

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エレベーターは満員電車のように混んでいる。お陰で嫌でも彼と密着。それにしても、やたらと女子社員が多いな。4基もあるのに分散して乗ろうともせず、我も我もとこのエレベーターに乗り込んできたし。

狭い密室で、色んな香水が入り混じって、息苦しい。こんなに混むならもう少し早く会社に入ろう。そんなことを考えながらチラリと隣にいるユキ君を見上げた。

彼には私の気持ちなんて理解出来ないだろうな。背の高い彼を見下ろす人なんて、そうそういないだろうから。

「舞、11階着いたぞ」

「えっ、本当?」

同じフロアで働く人が数人、エレベーターを降りて行く。私も続いて降りようとした。

「舞」

呼び止められ、振り返るとユキ君が私の頭の上に手を乗せて。

「じゃあな、しっかりやれよ」

ニコッと微笑む。不覚にもドキッとしてしまった。

「う、うん」

エレベーターを降り、振り返るとユキ君が手を振っていて。つられて振り返そうとしたが、やめた。エレベーターの中にいた女子社員全員が怖い顔して私を睨んでいたから。

私、何かしたっけ?まさかね。かぶりを振り、フロアに入った。

 

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