恋の時間ですよ 第2章 年下のくせに

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土曜日、昼のピーク時を終え、一息つこうとコップに水を注ぐ。ホールのテーブル席を片付ける母を眺めながら冷たい水を口にした。流しには汚れた皿が山となっている。週末のお昼は近所の家族連れや夫婦が食べにくるだけでなく、テイクアウトの注文も多く、平日に比べるとずっと忙しい。そんな週末をお母ちゃんが一人で乗り切れるとは思えない。週末は店の手伝いを続けていく事になりそうだ。

バイクのエンジンの音が聞こえ「お客さんかしら」と言いながらお母ちゃんが店の外をのぞく。

「まだ、いけますか」

「大丈夫よ」

「お薦めは何ですか」

「うちは何でも美味しいよ。焼きそばはホルモンが入っていてね」

お母ちゃん、随分と愛想のいい声で対応しているな。客は多分若いお兄ちゃんだな。私は洗い物をしながら外の会話に聞き耳を立てる。

「じゃあ、それと豚玉お願いします」

「舞、お客さん。豚玉とトンちゃんね」

「はーい」

洗い物していた手を止め、濡れた手をタオルで拭きながら顔を上げれば。

「いらっしゃい・・・・・」

少年のような笑みを浮かべてユキ君が。

「食べに来た」

なんて言うんだもん。不覚にも胸がキュンとしちゃったじゃない。

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