ウサギとヒナ 第七話 アプローチ

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 正人さんは、そんなウサギさんの行動を見ても全く気にしていない。
 というより、それどころじゃないって感じだ。

「そんな理由? 仕事ならともかく、ヒナちゃんといたいって……。それはないだろ。いつも俺を助けてくれたじゃないか。今回も頼むよ。そうだ、ヒナちゃんも連れていこうよ。うん、それならいいよね」

 渋い顔をするウサギさん向かって、正人さんは目をパチパチさせてお願いポーズ。

「ヒナ、ゴルフしたことあるか?」

 は? ゴルフ? 
 私は紅茶のカップを手にしたまま、首を横に振った。

「テレビ中継すら、見たことないです」
「だ、そうだ。そういうことだから」

 ウサギさんが腰を浮かせようとすると、正人さんが伝票を奪って引き止める。

「ヒナちゃん、コース回れるよう練習付き合うからコンペに参加してよ。ゴルフはね、コースを歩くから、いい運動になるよ。ダイエットにも効果あるんじゃないかな。ほら裕也も、ヒナちゃんとゴルフ出来れば楽しいと思わないか」

 若干、必死さが伝わってくるのは、気のせいだろうか。

「親友だろ、幼馴染だろ。助けてくれよ」

 さっきから助けてくれって。それってどういう意味? 私はウサギさんに顔を向けた。

「頼むよ。俺を一人で行かせないでくれ。行こうよ、裕也」

 とうとう拝みだした。
 どうしてもウサギさんをコンペとやらに参加させたいらしい。

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