ウサギとヒナ 第七話 アプローチ

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「口の軽い男と、気が利かない男はもてないぞ」
「邪魔者扱いするなよ。そんなにいちゃつきたいのかよ。一緒に住んでるくせに」

 正人さんはブツブツ言いながら手を伸ばし、床に落ちたナプキンを拾う。

「そうだな、邪魔も入らないし、家でいちゃつく方がいいな。ヒナ、帰ろう」

 腰を浮かせたウサギさんを正人さんがすがりつくように引き止める。

「ち、ちょっと待ってよ。話がまだ」
「だったら早く話せ」
「コンペ、春のコンペだよ。参加しないって本当か?」
「お爺さんから聞いたのか。……今回は遠慮するって返事したけど」
「なんで? 出張か?」

 いや、と言ってウサギさんは私の手を握り、自分の口へ持っていく。

「ゴルフよりヒナと一緒にいたい」

 ひゃーっ、今、私の指にキスしたよ。
 ウサギさんて、ほんと人前とか気にしないの?
 ここは日本ですよ、ウサギさん。

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