会社から五分くらい歩くと、チェーン展開されているラーメン店の看板が見えた。
入り口には数名の客が並んでいる。客の回転は早く、あまり待たされずテーブル席へ案内してもらえた。
テーブルの脇には、ネギ、紅ショウガ、ニンニクなどの薬味と、木の筒に入った使い捨ての紙おしぼりとプラスチックの箸。
私は紙おしぼりをふたつ抜いて一つをウサギさんの前へ置いた。
客の大半はサラリーマン。何人か会社の人がいるっぽい。というのも、ウサギさんに向かって会釈しているから、そうなのかなって。
店内の観察をしていると、おしぼりのビニール袋を破きながらウサギさんが呟いた。
「やっぱ、引っ越そうかな」