「もうお前の女に手は出さないって。でもまあ、一回くらいなら相手するよ?」
正人さんは顎に指を添え、にやりと笑った。
「いえ、結構です」
ん? もう? もうって、どういう意味?
ドンッ、ウサギさんが正人さんの胸板を掌で突いた。
「帰れ」
「冗談だよ、冗談」
「冗談じゃなくて、帰れ。邪魔、ほんと邪魔、本気で邪魔、絶対邪魔」
「ヒナちゃん、俺ら邪魔じゃないよね? 一緒に裕也の誕生日パーティーしたいよね?」
「せっかく色々作ってきたのに無駄になるじゃない。ローストビーフやキャロットケーキだって焼いたんだから。いいじゃない、せっかくだし、みんなで楽しくやりましょうよ」
「ヒナ、断れ、嫌って言え」
三人の視線が私に集中。
私に決めろと?
「あの……えっと」