今日はウサギさんの誕生日。
二人だけで過ごすはずが、ちょっとばかり予定変更に。
背中にチクチク刺さる視線は無視しておこう。
「うわぁ、すごい料理ですね。これ全部、朱里さんが?」
朱里さんが保存容器から、お皿へ移していく料理に思わず目がキラキラ。
ローストビーフ、キャロットケーキ、じゃがいもとブロッコリーとベーコンの炒め物、サーモンのカルパッチョ、アジのカツレツケッカソース添え。
アボカドのディップとレバーペーストを乗せて食べるフランスパンまで自家製だなんて、すごい。
それにしても美味しそう。
「朱里はこのマンションの三階で、料理教室開いているんだよ」
正人さんが棚からワイングラスを取り出しながら教えてくれた。
「お料理の先生なんですか」
「良かったら見学に来る? 裕也の彼女なら、いつでも大歓迎よ」
美人で料理上手で、スタイル抜群、背も高くて、気さくで良い人とか、完璧じゃない。
ずるいよ、神様。
「はい、お待たせー。たくさん食べてね」