広いリビングに大きな窓から見える夜景。しかもベッドルームが別になっている。
テレビで見たことがある、この部屋って、スイートルームじゃない?
「どうしちやったんですか? 前に連れてきてくれた部屋と全然違うんですけど」
ウサギさんは苦笑い。
「それ、頼むから、もう忘れて」
ウサギさんは私の後ろに立ち、両腕を回す。
「今回は特別」
「でも、広過ぎてもったいない気が」
「月曜の朝まで過ごすんだから、広い方がいいだろ」
「月曜?」
思わず、声が裏返る。つまり三泊四日?
「ヒナの部屋は狭いし、壁も薄いからな」
ドキン。壁の厚さを気にする意味が分かってしまった。
「ここなら、ヒナも声を我慢しなくていいだろ。それに浴室も二人で入っても十分広いし」
ひゃーっ、露骨過ぎて、なんて返せばいいか分からないよ。
耳元でクスクス笑うウサギさんは大人の余裕といった感じ。でも私は、余裕なんて微塵もない。
「ひゃっ」